売らない写真。
先月、精神障害の方々のデイケア、絵画(立体)展の図録のために、
選出された作品の撮影をしていました。
少し前にその作品展も観にいったのですが、
突き抜けた感のある、素晴らしい作品が多く。
「この作家の方々は、作品を売ったりはしてるんですか?
これ、買いたいって人はいるでしょう。」
「いえ、みんなには売らないように言ってるんです。」
「えっ、そうなんですか。」
「買いたいっていう話はあったりもするんですけど。
売ることを考え始めると、どうしても作品がそういう方向にいっちゃうので。」
「なるほど、、。でも、それは、すごくよく分かります。」
「ここで絵を描くのは治療の一環なので、、。」
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彼らの作品には、自分、とても共感を覚えるんです。
たぶん自分も、彼らとすごく近いところで写真を撮ってると思うんですよね、。
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もともと自分は、小学生のころから写真を撮ってて。
飼育していた昆虫の生態の記録や標本の撮影をするために、写真を始めたので。
昆虫や花とかのネイチャーフォトを撮る写真家になりたくて、
大学も自然の美しい信州大学に。
大学4年間で撮りためて卒業したら、そちらの道にという目論見で。
けれど大学4年間で思うところあって進路変更。
写真は完全に止めることにして、機材もすべて処分。
それが結局、、失踪しちゃったりいろいろあって、
やることが何も無くなって、
最終的に写真に戻ってきてしまって。
昔はアラーキーさんとか、モノクロのスナップ写真とかも、どこがいいのかサッパリ分からなかったけど。
でも、また写真やろうと思ったら、なぜかそちらの写真に惹かれてました。
ずっとやってた昆虫写真とか、まったく関心なくなっちゃって。
この感覚の変化は、本当に自分でもよく分からない。不思議。
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自分が写真を撮る理由は、要は自分の精神安定剤ですな。
ハッキリしてます。
上述の、デイケアで絵を描いているのと、同じだと思います。
だから、その点でもすごく共感するんだと思う。
「売らない」っていう選択にも、ものすごく共感するのもその辺。
それの意味するところは身にしみてよく判る。
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by m_sakamaki | 2013-01-23 04:36 | 写真